地主から見るメリット・デメリット
地主のメリット
では、人に土地を貸すことで地主にどのようなメリット
あるいはデメリットがあるのか見て行きましょう。
まず、メリットからです。
メリットの1番は土地の有効活用と地代収入です。
日本の面積は狭く、約70%が森林で占められています。
つまり住宅地や商業用地などとして活用できる面積は、
そもそも少ないのです。
にも関わらず、使っていない土地をそのままにしておくとなれば
国民にとっても大きな損失になります。
自分では使わないなら、人に貸して活用してもらうべきなのです。
もちろん、借地権を設定して相応の地代で貸すことができれば、
地主には地代収入が入ります。
また人に土地を貸すと、税金面でもメリットが高くなります。
1つめは相続税の軽減です。
相続税には控除額というのがあり、
現在のところ5000万円+1000万円×法定相続人の数までは
相続税がかかりません。
相続税が発生する人は亡くなった方に対して極めて低い割合で
平成22年度でいえば、死亡者約120万人に対し相続税が
課税された人は約5万人で、全体の4.2%程度に過ぎません。
しかしこの大半が、土地を
たくさん所有している資産家と言われています。
もっとも資産家とは言われても、当人たちにしてみれば、
土地は所有しているけれど、
相続税を支払う現金はないということが多いのです。
地主のデメリット
できれば相続税の負担を減らしたいと考え、
様々な節税対策を行うことになります。
相続税の課税対象とされる土地は時価で評価されるのではなく、
路線価や固定資産税評価額という
時価の60%~70%相当の価格で評価が行われます。
時価に比べればだいぶ軽減されますが、
さらに軽減する方法として借地権の設定があります。
借地権は借地人を強く保護する権利で、一度貸せば、長く自分は
使うことができなくなるため、その負担分が控除されるのです。
借地の相続税評価額は、土地の相続税評価額×(1-借地権割合)
となり、相続税評価額5000万円の土地で借地権割合が
60%であれば、2000万円まで下がります。
もう1つが固定資産税や都市計画税の軽減です。
土地を全く使わず放置し何の収益を生まなくても、
毎年、固定資産税や都市計画税が課税されます。
その負担は意外に大きいものです。
その上、近隣に迷惑をかけないよう草刈りをしたり等の
手間や費用もかけなければなりません。
しかし他人に土地を貸せば、これを地代の一部から賄うことが
できますし、固定資産税や都市計画税の軽減が受けられるのです。
他人に土地を貸している間も、
固定資産税や都市計画税は土地の所有者に課税されます。
商業地等の固定資産税や都市計画税は時価の70%を
課税標準として税率がかけられます。
これに対し住宅用地の場合、課税標準額が6分の1に軽減され、
支払う税金が大きくダウンするのです。
他人に貸した土地でも、
借地人が住宅を建てて暮らしていれば住宅用地に該当します。
これに対し地主のデメリットの1番は、
自由な使用ができなくなることです。
たとえば親の代に貸した土地は、
子供世代も地主の地位を相続します。
しかしその子供はその土地でパン屋を開きたいとか、
レストランを経営したい、もっと地代を支払ってくれる人に
貸したいなどと思うかもしれません。
しかし普通借地権にせよ定期借地権にせよ、
存続期間が長く、普通借地権にあたっては
正当事由がない限り更新拒否が認められません。
仮に正当事由が認められたとしても、高額の立ち退き料を
支払わなければならないケースがほとんどです。
もう1つのデメリットが、
借地人や近隣住民とのトラブルの発生です。
借地人と地代の額や更新などを巡ってトラブルが生じる場合も
ありますし、借地人が何か近隣に迷惑をかける行為を行うと、
地主にクレームが入る場合が多くなります。