地代の適正相場と増減請求
増減請求
借地権はこのように地主、借地人双方の相続によって受け継がれる権利であるため、長い期間に渡って存続しつづけるものです。
そのため確かに相続した地主が、地代が時代の流れや、地価の相場、周辺の地代相場にそぐわないことも出て来るでしょう。
極端に地代が安くなっている場合もあれば、逆に高くなっていることも考えられます。
たとえばバブルの花やかなで地価が暴騰していた時代に結んだ借地契約であれば、地代もかなり高額に設定されている可能性があります。
その後の地価下落や不況により地価や地代の相場が低迷していることや、賃金も上がらない、物価も下がる一方のことを考えれば、時代や市況に不相応な地代となっているかもしれません。
もっとも、この場合も基本は借地契約書の取り決めによります。
契約期間中も地代相場や経済状況の変動に合わせて地代を見直すことができるという定めがあれば話し合いはしやすいでしょう。
逆に、一定期間地代の変更ができない旨の定めがある場合は、地代変更が容易にできない場合もあります。
ただし地代変更ができない旨の定めは、増額しない旨の定めはOKですが、減額を認めない定めは借地人に不利なため借地借家法上認められません。
借地借家法の11条においても、地代がその土地に対する税金の増減や、土地価格の上昇や低下、経済事情の変動によって、近隣の類似の地代と比べて不相当になった場合は契約条件に関わらず地主および借地人双方が将来、地代の増減を請求できるとしています。
ただし、一定期間地代を増やさないという定めの特約がある場合は、それに従うよう定められています。
この点、条文の中にも地代を検討する際の基礎として土地の税金が登場してきましたが、実際に適性な地代を考えるときも、土地の固定資産税を基準に考えることが主流となっているのです。
適正相場
前に、固定資産税相当額しか地主に支払っていない場合は借地契約ではなく、使用貸借契約になるという話をしましたが、土地の所有者なら必ず払う必要のある固定資産税は主要な目安となります。
地主は土地を他人に貸して自ら使用できなくても、土地の所有者として固定資産税を支払う義務があります。
とすれば固定資産税以上の地代をもらわなければ、土地を貸しても何のメリットもないわけです。
ですから、たとえば東京都内で土地を貸す際の相場は、地価が高く固定資産税も高い傾向にある商業地の場合は、固定資産税の2倍程度、住宅地の場合は3倍程度が、年間の地代の適正相場と言われています。
固定資産税の金額は、土地の所有者でなくても、市区町村役場で閲覧が可能なので、地代が高すぎるなどの不満があれば、一度確かめてみるといいでしょう。
そのデータと借地借家法の条文をもとに、地主に掛け合ってみましょう。
逆に地主から値上げを求められた場合は、契約書に増額不可の定めがないかを見直したうえで、信頼できる不動産会社に間に入ってもらうといいと思います。
この際、地主が連れてきた不動産会社では地主サイドに立ってしまう場合があります。
法律の条文を示し知識があることを示すと、相手がこれは強引に話をまとめるとまずいなと、一歩おいてきちんと対応してくれるようになるのです。