底地を手に入れたくなったら?

    一軒家

    土地付き一戸建て

    長い間、借地で暮らしていると、やっぱり土地の所有権を手に入れたい、自分の土地が欲しいな、土地付き一戸建てに住みたいなと考える方もいることでしょう。

    そんな時、借りている土地から離れて、新しいところで土地付き一戸建てを買おうと考える場合と、多少古くなっているけれど住み慣れた我が家を手放すのは嫌だな、いっそのことこの借地が自分のものになったらいいのにと考える場合もあるはずです。

    我が家を手放すのは嫌だ

    今回見て行くのは、後者の事例です。
    この点、借地の所有権の価格というのは、簡単にいえば底地と借地権の価値を合わせたものになります。
    借地人は既に借地権を有しているわけですから、底地を手に入れれば、完全な所有権になるわけです。

    価格的にみても、別の場所で新たに所有権を取得するより、既に所有権の一部である借地権を持っていれば、底地の部分だけ買えばいいので有利です。
    さらに建物も既存の建物を利用できるので、新たに購入したり建築する費用がかからず、低コストで土地付き一戸建てが手に入るということになります。

    もっとも、これを実現させるには地主が底地の売買契約に合意してくれなければなりません。
    これは借地権の売却や転貸よりも、承諾を得るのが難しい話になるかもしれません。
    この点、辺り一帯を貸し付けているような大地主さんだとかえって難しい可能性があります。

    たくさん土地を持っているからいいじゃないかと思うかもしれませんが、1人に許せば、他の借地人たちも安く底地を手に入れたいと言い出すでしょう。
    それでは自分の土地を一斉に手放すことになるので、1人だけ特別というのはしにくいからです。

    逆に、借地が点在している地主さんや、相続により仕方なく地主を引き継いでいるといったケースでは、話してみたら案外いい返事が返ってくる可能性もあります。
    実は貸している土地を売却したかったという地主さんは、案外多いのです。
    というのも、借地人がいる間は底地しか売れないわけですが、底地は借地権の負担がついているので、安い価格でしか売れません。

    借地権の負担「底地」

    底地を買った人は、権利金などを受け取れるわけではなく、その土地を自分の自由にできるわけでもなく、わずかな地代の受け取りだけで長年にわたって借地契約に拘束されなければなりません。
    そのため、買い手もなかなか見つからないのです。

    ですから、待ってましたとばかりに底地の売却話に乗ってくれる場合もあります。
    中には地主さんのほうから、底地の買取を申し入れられるケースもあるくらいです。
    自分にその気がなければ特段応じる義務はありませんが、せっかく所有権が持てるのですから検討してみて損はないでしょう。

    ただし、底地の売買についてはお互いその気でも、価格でもめる場合があります。
    借地人は少しでも安く買いたいですし、地主は少しでも高く売りたいと考えるでしょう。
    そこで、お互いに不動産業者に仲介を頼むことをオススメします。

    どちらか一方だけですと、その人サイドに傾いてしまうので、それぞれ自分で選んだ不動産業者に間に入ってもらい、近隣地域の土地相場などから適正価格を割り出してもらったうえで、交渉してもらいましょう。

    もちろん、双方で信頼できる中立的な第三者としての不動産業者が見つかれば1社への依頼で構いません。