世代が替わった借地権を巡るトラブル

    借地契約書を持つ男性

    借地権トラブル

    割とよくあるのが、世代が替わった場合の借地権を巡るトラブルです。
    借地権は相続できます。
    ですからたとえばおじいちゃんの時代に最初に借りた土地をお父さんの世代、そしてその子どもである孫世代も相続して借り続けることができます。
    一方、地主も貸すという義務を相続するのです。
    ですから世代が替わっても地主であり、土地を貸す義務がある一方、借地料ももらう権利があります。
    しかしかなり昔に借地契約を取り交わしている場合、契約が口約束で済んでいたり、借地の契約書もお互いにどこかに紛失させていたりなんてこともあります。
    また賃料の支払いにしても、一気にまとめて支払ってずっと借りていていいよなんて取り決めをしている場合もあったりするのです。
    これは、最初に契約を取り交わしたその2人が生きていれば、特に問題は生じないわけです。
    信頼関係があり、お互いの仲が良好だったから、そのような取り決めをしたのでしょうし、地主は特に必要のなかった土地を他人に貸して活用してもらって、満足していたのでしょう。
    これがとある時、相続によって地主となった人がやってきて言うわけです。
    「今後は地代を上げ、今は年間で10万円しかもらっていないけれど、今後は年間60万円にする」などと、いきなり騒ぎ立てて、借地人としては大慌てというわけです。
    「この土地はお祖父さんの代に借りて、あなたのお父さんからも同じように貸してもらっていたのに今さら突然そんな事を言われても」と困惑します。
    すると立て続けに「それなら、それを示す借地契約書はどこにあるんだ?地代や契約期間を示した契約書を見せてみろ」なんてまくしたてるわけです。
    そういわれて、スッと出てくればいいですが、実は現在暮らしている家族は、その契約書を見かけたことすらありません。
    「そんな事を言われても、お祖父さんかお父さんが取り交わしているはずだけど」ということになり話が進まなくなります。
    せっかく、これまで続いてきた良好な信頼関係が、ガラガラと崩れてしまいます。

    一番重要な基盤は「信頼関係」

    借地契約にしても借家契約にしても、一番重要な基盤となるのが、貸す側と借りる側との信頼関係だと言われているのです。
    借地上に所有する建物の登記があれば、借地権は対抗できますが、地主が聞く耳を持たなければ最悪の場合、裁判に訴えて借地権の存在を認めてもらい、地代に関しては地主が地代の増額請求などを提起して、裁判所に調整を行ってもらうということになります。
    しかしできれば裁判など起こさず、話し合いでおさめたいものです。
    双方で話し合っても上手くいかないでしょうから、信頼できる不動産会社などに間に入ってもらい、お互いが納得いくように話し合いをして、改めて契約書の作り直しと、周辺地域や固定資産税などの相場からみた適正賃料を割り出してもらって、地代についても決着をつけお互いの合意を見るのがいいでしょう。
    少なくとも相手の勢いに乗って、それなら出て行く!なんて事がないようにしましょう。
    借地上の家はあなたの所有物ですから、冷静に考えたほうが良いと思います。