地代の支払いが滞ってしまったら?
地代ローン
経済状態が不安定となり、景気が回復しないまま長い年月が経っています。
このような状況で、お給料を減らされたり、リストラされて職を失ったりする経験をした方もいるでしょう。
借地の場合、地代の支払いとともに、自己所有建物についても住宅ローンの支払も有している場合があります。
地代は土地を買った場合の返済額よりは少なくなりますが、支払いを2つ抱えて大変という場合もあるでしょう。
そんな場合に、もし地代の支払いを滞らせてしまったらどうなるんだろう、土地を明け渡せと追い出されてしまうのだろうかと不安に思っている方もいると思います。
まず、賃貸借関係には信頼関係破壊の法理という判例理論があります。
これは、賃貸借契約のように長期的に継続する契約においては、たった1回の賃料不払いにより契約を解除することが認められるわけではなく、信頼関係を壊してしまった場合でないと解除できないというものです。
長い間契約が続いていれば、たまたま支払を忘れたとか突然病気になったり、親族に不幸があって支払っている余裕がなかったり、振り込む暇がなかったなんて場合もあるでしょう。
それまでは毎回きっちり払ってきていたのに、たった1回の不払いや支払遅滞で、契約を解除するなどという大ナタは振るえないということを意味しています。
もっとも、信頼関係が破壊されたというには、借地人と地主ごとに個別に判断がされます。
それには地代の額や地代不払いの回数、借地人の態度や地主側の態度などの事情が、裁判にあたっての判断材料となるのです。
特段の大きな事情がなければ、およそ4ヶ月から6ヶ月程度の滞納があってはじめて、信頼関係の破壊ありと判断されるようです。
信頼関係破壊の事由
一方でたとえば、数年前からゴミ屋敷として有名になるような使い方をしており、地主がさいさん注意や改善を申し入れたにも関わらず、地代も不払いになったという場合、ほんの1ヶ月や2ヶ月程度でも、信頼関係の破壊と判断されるかもしれません。
この点、地代が毎月払いであるなら、これまで不払いがなく地主との間でも大きなトラブルや迷惑をかけていない限り、2~3ヶ月程度であれば契約解除はされないでしょう。
もし年払いである場合は、1回の支払額も大きくなるので、その支払期日から起算して半年から1年程度なら解除されずに済む可能性もあります。
ただ、その間も地主からは督促が入ったり、内容証明郵便などが送付されてくるでしょう。
本来払うべきものを支払えていないわけですから、真摯に対応し、事情を理解してもらい、できるだけ早急に資金を用意できるよう努めましょう。
そうでないと信頼関係破壊の1事由に捉えられてしまいます。
なお、年払いなどまとまった額で納めるのが大変ならば、月払いに変更してもらえるか、地主と話し合いをしてみましょう。
また、地代自体が近隣の相場に比べても高額であるという場合は、地代の減額を申し入れてみましょう。
話し合いがまとまらなければ、借地借家法の11条に基づき地代の減額請求をすることも可能ですがその場合でも、減額の裁判が決定するまでは従前の地代を支払うことが前提になっています。
地代の支払いができない場合は、まず地主ときっちり話し合って、今後もそこに暮らしていけるための方法を共に考えるのが賢明です。